「さよならを言う為に」

春先の集中豪雨

国道も川になる程の雨の中

ドライブに出掛けた

さよならを言う為の、一人きりの車旅行

好きだったあの人を忘れる為に

車を走らせて

マックスまでボリュームを上げたカーステレオにも

負けないくらいの大声で叫んだ

「さよなら」「これでもうちゃんと忘れるから」

「幸せにおなり」

もう、「またね」は言えない事

そんなのずっと前に解かってたはずだったのに

未練がましい心の奥の熾き火が

まだ消えきってなかった事に気付いてしまった

だから

今日のこの日を境に

あなたの思い出を全て封印しようと決めた

素直に言えば良かったのか？

あなたが欲しい、と

恥ずかしげもなく

あの人と別れてくれと

そう言えば満足だったのか？

自分にはそれが出来ない事を知っていて

そう言わせたかったのか？

出逢った頃に気付けば

人生が変わっていたのかもしれないけれど

気付かなくて良かったのかもしれない

今日はさよならが言えて良かった

謝れて良かった

これで「なかったこと」に出来るね

お互いに

幸せにおなり

自分もあなたよりずっと幸せになれるように

頑張るよ

それじゃ、

「さよなら。」

2003.03.03(c) Y.Mitome..